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ワイン業界     大手参入・七割の原価率で価格競争激化! 

国内のワインの消費量は10年前に比べ2倍近くにまで伸びたものの、ここ数年は微増、横ばいの傾向が続いている。EC業者たちは伸び悩む市場のなかで激しい競争を繰り広げている。ネットとの親和性の高さから03年以降、大手企業が相次いで参入するなど注目を集めたワインのEC市場。“プレーヤー”たちの奮闘ぶりからその市場の現状を追った。
 
■ワインの出荷・輸入数量の推移(単位:千KL)
日本ワイナリー協会から抜粋 

大手参入・七割の原価率で価格競争激化 リピーター確保する早期参入業者がリード維持

 
 
ワインは単価が高く、銘柄も多いためロングテール狙いの販売ができるとして、ネットとの親和性は高いと考えられていた。実際、チャンスに目をつけた大手商社などの参入が’03年前後から相次いだ。しかし、原価が六割〜七割と高く、さらに銘柄ごとの適正な販売価格を消費者が熟知しているなど他商材との違いもあり、価格競争が激化。「労多くして功少なし」の状況に多くの業者が早々と撤退していった。  一方で”何もしなくても売れていく“という状況にある
 
ワインの地域別消費数量(平成19年度)
国税庁発表統計資料より抜粋
 
ECサイトが存在する。多くが楽天など大手ショッピングサイトに九八年前後と早い段階で参入したショップたちだ。何もしなくても売れていく秘密はリピーターを多く確保しているからに他ならない。同じ銘柄であっても保存方法によって大きく味の質に違いが出る”生き物“であるワイン。手間ひまを掛けた運送と保管により高い品質を維持し、消費者の信頼を勝ち得えた業者は価格競争にも負けずに売上をキープしている。ただ、広告効果やメルマガ開封率が低下している状況が進展しつつある。今後、利益率を落とさず売上を伸ばすことは難しく、また新たに他業界から参入する障壁は高いといえる。

メルマガでの販売からスタートし会員10万人 テクニックより商品へのこだわり発信が鍵

  ワイナリー和泉屋
 
「友人がワイン情報を発信するメールマガジンを書いていて、そこで私が数点お勧め商品を紹介したところ読者の方からどこで買えるのかと問い合わせが殺到しました。それを機にメールマガジンでの販売を始めたのです」  現在、平均月商3300万円を売り上げるワイナリー和泉屋(東京都板橋区)の新井治彦社長は、EC参入へのきっかけをこう語る。同氏は大正11年から続く酒店の三代目であり、店舗自体をワインに特化させた。

 

 

ワイナリー和泉屋
http://www.wizumiya.co.jp/
ネットショップ開設年 1999年
もともとの主体事業 酒店
平均月商  3300万円
1998年にメールマガジンをスタート。翌年に楽天に出店した。当時はまだワインを扱う店舗は少なく、破竹の勢いで売上を伸ばした。同氏が書く人気のメルマガは、現在会員数10万人だ。五年連続でショップオブザイヤーを獲得。’04年には年商六億円を達成した。 「広告企画や、外部リンク、プレゼント企画や集客のためのみにショップを作ったりと、テクニカルなことをいろいろとやりました。しかし現在でそういったことは殆どやらなくなりました。現在の楽天の仕組みからしても、小手先のテクニックは通用しなくなっているからです。ここに来て思うのは、いいワインをしっかりとセレクトして、きちんと情報発信をしていく事が一番大事だということです」(新井治彦社長)  現在では広告費も殆どかけていない。日々のワインに関する情報収集から、海外の生産者を訪ね独自でワイナリーを開拓するなどの研究を強化。また昨年池袋に直営店のワインバー「エスペルト」をオープン。実店舗での反響や顧客の声を、サイトにも反映させている。本質的な部分に立ち返ることで、ワインファン向けにきちんと情報発信をしていきたいと語る。

アズマコーポレーション

店舗限定銘柄をメルマガ使い 紹介でリピーター囲い込み

       

店舗を持つ強みを生かし、競合他社との差別化を図るのがアズマコーポレーション(東京都港区)だ。 「サイトで扱う1200の商品以外に、店舗では300銘柄を用意してあります。サイトのリピーター獲得のために、利用者のみに提案する商品として用意しています」  サイトでは月商500万円を売上げている。サイト以外にも、店舗、レストラン、インポート事業を展開している。 「店舗でも販売しているのでサイトのみ行う業者に比べ在庫リスクは少ない。楽天は移り気の多い利用者が多いために、他と違う商品を提案するなど定期的に利用してくれる顧客をいかに獲得していくかが重要だと考えています。それ以外に売り上げを伸ばすには広告費が必要になりますが、費用対効果が合わない」  サイト利用者を実店舗でのイベントに招待するなどしてリピーター獲得を進めていく考えだ。

ワインの情報サイトとしてのコンテンツが充実 自社サイトのみでリピーター率80%

 
ワイン・ショップ イーエックス
「もともとワインの専門情報を発信する場を作ろうとサイトを立ち上げました」  そう柳田由香コンテンツディレクターが語るように、同社のサイトはソムリエのコラムや、世界各国のワインジャーナリストによるレポートなど、読み物としてのコンテンツが充実しているのが特徴だ。2001年に自社サイトをスタートさせ、現在では平均月商1800円。リピーター率80%とサイトのファンが多い。
ワイン・ショップ、イーエックス
http://www.exwine.net/
ネットショップ開設年 2001年
もともとの主体事業 ワイン事業の酒店
平均月商 1800万円
こうした事業や人脈から集まるワインの専門知識をサイト上で展開する。 「有料でトップソムリエの方にコラムを依頼しているのですが、当初はなかなか読んでもらえませんでした。いろいろと考えた結果、もう少し初心者でも入りやすい内容、例えば『ロマネコンティの高い理由』など、わかり易いコンテンツを作って読んでいただき、次第に専門性の高い情報に誘導するようにしました。おこがましい表現ですが、ワインファンを育てるサイトにしたいと考えています」(柳田氏)  当初、紙媒体等への広告出稿など集客に関しては多くの費用を投じたが、現在ではSEO対策のみ。今後新規の顧客をどれだけ集められるかが課題だ。もともと専門性を強く打ち出すために楽天への出店は避けてきた同社。楽天市場が盛り上がりを見せる中、うらやましくもあったというが、じわり少しずつ顧客を獲得してきた。 「これだけ競合店が増えてきた今となっては、ただでさえ薄利な商材ですから、モール出店をしなくてよかったと思っています」

FMJフードマインド・ジャパン

ECショップ向けに商品発掘代行 キャッチコピー付きで卸販売

商品数の多さ故に、ECショップと輸入業者の中間に立ち、新商品の発掘やキャッチコピーの作成を代行する業者も多く存在する。FMJフードマインド・ジャパン(東京都新宿区)もそんな会社の一つだ。 ECサイトを持つものの、あくまで業者向けのカタログで表示価格は高く設定されている。200社以上のECサイトにメールマガジンで商品の提案を行い、注文があれば輸入業者に発注を行うドロップシッピング形式で販売を行っている。ECサイト運営者には、サイトでの販売がしやすいように商品説明や売り方もアドバイスを行う。 既存の業者に比べ在庫リスクは少ない。楽天は移り気の多い利用者が多いために、他と違う商品を提案するなど定期的に利用してくれる顧客をいかに獲得していくかが重要だと考えています。それ以外に売り上げを伸ばすには広告費が必要になりますが、費用対効果が合わない」  「ワインの商品数は膨大。ECサイトの勝負を決めるのは他社といかに違う商品を揃えるかにかかっていますが、サイト更新や顧客対応に追われて商品の発掘にまで手の回らないサイトが多い。そこを商品のプロデュースも含めて代行しているのです」(細谷信介社長)  同氏はかつてワインのECサイト運営会社で店長を務めていた経験を持つ。 「店長をしていたのでショップの苦労はよくわかります。多くの店が数人もしくは一人で運営されています。銘柄発掘の部分を弊社が代行する事で煩雑な手間を少しでも軽減できればと考えています」



 


 
 

一商品一ページで商品紹介にこだわり
後発ながら平均月商1200万円

新保哲也アトリエ
ワイン館西浦
歌山県を中心に六店舗を展開するワイン館西浦では、2003年9月に楽天に出店。商品説明を徹底することで、平均月商1200万円を売り上げている。 「初月の売上は13万円でした。他社のサイトを徹底的に検証して、売れ筋の商品やサイト作りを研究しました。半年後から広告なども活用し、徐々に売上を伸ばしました」(北口昌博店長)
ワイン館西浦
http://www.rakuten.ne.jp/gold/nishiura-wine/
ネットショップ開設年 2003年
もともとの主体事業 酒店
平均月商 1200万円
そんな中、同社では商品説明に注力してきた。メーカーからの説明文をそのまま載せないというのは言うまでもなく、生産者の話、実際に自分たちで飲んでみた感想などをなるべくわかり易い言葉で紹介する。 「一つの商品の説明文を書くのに2~3時間は裕にかけています。楽天での文字数の上限いっぱいまで使い、とにかく徹底的に説明します。五感をいかに刺激するかを考え、撮影も社内にあるスタジオで行います。大変な作業なのですが、これをしないと売上が落ちるのです」  また梱包に凝ったり、パスタや紅茶などの「おまけ」を付けるなど、顧客を逃がさない工夫も行っている。  現在取り扱い数2000アイテムの内、350アイテムが独自に現地から買い付けたオリジナル商品だが、今後はその比率を高めることで利益率を上げていきたいという。
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